「言葉の力」②(瑛作)
前回は、音読することで分かる「言葉の力」について書きました。
国語や社会の教科書を音読する様子を観察すると、
その子の「言葉の力」が分かり、どれくらい理解できているかを推測できます。
とはいえ、「言葉の力」を養うことは一朝一夕でできることではありません。
この「言葉の力」は決して国語や社会に限った話ではありません。
よく「数学(算数)の文章題になるとできない」という悩みを聞きます。
例えば「○○君は家から学校に歩いて登校しています。
忘れ物に気づいたお母さんが、○○君が出発した10分後に家を出発しました。~」
このような問題はよくありますが、
式を立てていくなかで、
「○○君とお母さん、どちらの方が長い時間歩いているのか?」
ということが想像できていないケースがよくあります。
これがいわゆる
「文章題の問題を読んでも理解できていない」
「式が立てられない」
という悩みにつながるものです。
これらの根底にも「言葉の力」があると思います。
そして「言葉の力」は英語にも影響を及ぼします。
小学校においても英語が授業科目化し、学校はもちろん塾でも英語を本格的に勉強し始めることが多くあります。
いまでは、中1から英語を始めていては遅いというのが常識です。
英語を勉強していく中で、文法を理解し、単語を覚えることで
小学生のうちから中学英語の文章を読んだり、書いたりできる子が多くなりました。
しかし意外なところに「言葉の力」の弊害があります。
例えばある中学校の定期テストで出題された問題では
- 「僕は朝食の前にトランペットの練習をします」
- 「昼食はよくどこで食べているの?」
このような英作文の問題が出題されました。
単語や文法を理解していても、実際に問題を解いていくと、
英語力以外の部分でこの問題が解けない、という子は意外と多くいます。
さて、この問題のどこに「言葉の力」の難しさがあるでしょう。
- 「僕は」を「私は=I」と解釈できない。
- この疑問は相手に対してなので、主語は「あなた=You」だと変換できない。
こういったパターンです。
「私は=I」「あなたは=You」と習ったので、
「私は」「あなたは」という言葉がないとうまく変換できません。
こういったところが「言葉の力」が弱い子にとっては、大きなハードルになります。
これは中学生の初期段階のテストなので、簡単で自分は大丈夫と感じる人もいるでしょう。
しかし例えば英作文。
新しい文法や単語を勉強すればするほど、難しい表現が頭をよぎり、
簡単な日本語に解釈し直すことができないケースもあります。
模範解答を見てみると、思っていたより簡単な文法、単語で書かれているのに驚いたこともあるでしょう。
このように「言葉の力」は、さまざまなところで不可欠な力になります。
(つづく)