大人がどう伝えるのか(古田茂大)

現在中3の社会では、戦後の日本について学んでいます。歴史を教える際に、普段から気をつけていることがあります。

それは、主観を押し付けないことです。「○○年に××が起きた」という事実は事実として学べばいいと思うのですが、僕たちのような立場の人間が、その事実に対して主観を述べすぎてしまうと、子どもたちを誘導してしまうおそれがあります。

例えば、日米安全保障条約を戦後に結んだことは、事実です。では、それをどう受け止めるかは、大変ナイーブな話になります。授業の初めに「アメリカ軍が日本に滞在すること」について、アンケートを取ってみました。結果、アメリカ軍の滞在に賛成する生徒の方が、反対派を上回っていました。その後、「沖縄でのアメリカ軍の非情な行い」・「もしアメリカ軍が滞在しなかったら…」と多角的に話をしました。その後、再びアンケートを取ると、ほぼ同数の結果になりました。もし、私が偏った切り口で、話をしていたら、どちらかに誘導することもできたと思います。

ここに慎重にならなければならない点があると考えています。表面上の事実を伝えるだけでは、子どもたちは社会にあまり興味を持てません。そうかと言って、そこに主観を入れすぎて伝えると、偏ったリードをしてしまうことになります。子どもたちが、より社会に興味を持ち、自らの考えをもってもらえるように、工夫していきたいと思います。