『君は、将来、何になりたいの?』

 学習塾を生業にして、はや31年が経とうとしております。

その間に、この『君は、将来、何になりたいの?』の質問に

何度出会ってきたか分かりません。因みに私は、この質問を

したことはほとんどありません。どういう高校に行きたいか?

どういう学科に行きたいか?どういう大学に行きたいか?は、

多く質問はして参りました。勿論、教育学部の様な学部だと

必然的に教師になることは理解できますし、医療系も直結する

学部であります。

 

ほとんどの多くの生徒がこの質問の答えに窮しております。

明確な答えが無いのが分かっていながら、多くの周りの大人は、

この質問を子ども達にむけます。ごく一部の明確な答えを持つ

生徒は、その答えを繰り返しますが、ただしそれもあくまで、

空想の域は越えません。なぜなら実際に体験したことが無いから

です。志を持って、情熱を持って、その仕事に就いたとしても、

実際にやってみなければわからない事は山ほどあります。

 

ある真面目な生徒は、この答えを自分が持ち合わせていない

ことをまるで、自分が責められているような気持ちにさえなります。

高校を決めることは、そういう意味ではまだそれほど問題に

なりません。しかし、大学を決める際の、特に文系の学生は、

上手く感情をコントロールするのが難しい時期なのです。

そんな生徒にはいつも、『無理やりだす答えには、意味は

少ないので、目の前のことを精一杯尽くそう』