「2558人の教員不足」について①

文科省の調査によると、全国の公立学校で、教員不足が

深刻な状況となっていることが判明したと、ニュースに

なっておりました。私達はあくまで私塾の講師であります

から実際の現場の大変さは分かりませんが、少なくとも

普通の方より、その近くで状況を観ている者として、

思うところを綴りたいと思います。

 

この教員不足の原因として、教師の労働環境の過酷さ、

待遇面での脆弱さによる採用状況の悪化が挙げられて

おります。基本的に教師になる方は、教員免許が必要

なのですが、これは大学で取得しないといけません。

つまり、高校3年生の受験の段階で、教師を目指す方の

進路は確定しております。大学生の時に、教育実習や

必要単位を経て採用されていきます。

 

昭和の頃、学校の先生が退職することはほぼ皆無

でした。しかし、最近は様々な理由で、教師という

職業を退職される方も多くなってきました。

実際に、生徒に聞いても、学校に来なくなった先生

は確実にいるようです。夢を持って、しかも長い時間を

かけてやっとなれた教師という立場ですが、

現場での仕事で、合わないと考える方が多いのも事実ですね。

 

私見ですが、その最たる原因は、目には見えない日本の

価値観の変化だと考えております。「学校の先生」は、

決して尊敬の対象ではなくなってきております。

「先生の言うことは聞きなさい」は、今や死語です。

もちろん、頭ごなしの理解不能な指導が良いとは思い

ませんが、昭和には有無を言わせないような上下関係が

あったように思います。その証拠に流行の音楽には、

その不条理に向かう反骨心などが訴えられました。

 

現在の先生の立場は、決して強いものではありません。

まさにカミソリの上を歩くがごとくのバランス感覚が

求められます。保護者からは容赦ないプレッシャーが

かかり、何かあれば全て教師の責任です。いじめ、

事件、自殺など、全て校長、教育委員会が真っ先に

問われます。まずは一次的な仕事は、勉強を教える

ことですが、その成果より生活に対するケアの方が、

明らかに比重が大きくなり、また個人評価にも直結

します。それを求める民意が強すぎます。何か親は、

子どもが上手くいかなかった時は、同じ被害者の様な

扱いになり姿は出てきません。

 

この状況で、教師という職業を子どもが成りたい上位

にすることはほぼ不可能だと思われます。

②へ続きます。