無人販売所にて(古田茂大)
岐阜には、農作物の無人販売所がまだまだ見られます。
性善説に基づいた日本ならではのシステムだと思います。
外国人には信じられないそうです。(自動販売機すら壊されてしまう国も)
ただ、最近では、そのシステムも崩壊しつつあるニュースを耳にすることは少なくありません。
そんな無人販売所を先日訪れた際の話です。
岐阜の名物である富有柿をお値打ちに購入しようと無人販売所に立ち寄ったところ、
シーズンのピークを越えたせいなのか、虫食いやいたみがひどいからか理由はわかりませんが、
「ご自由にどうぞ」と大量の柿が、ケースに入っていました。
ラッキーと思い、事前に用意していた100円をポケットにしまおうとしていた際、
同じく柿を購入しに来ていたおばあさんが、おいしい柿の見分け方を教えてくださりました。
それだけでもなんだか、心がほっとする瞬間でしたが、
更に、次の一言で、そのおばあさんに完全に心を奪われました。
「無料だなんて、嬉しいね。農家の人へのお礼に200円入れておこ」
さらに、私にとどめを刺す第3の矢が放たれます。
「あんた、袋、持っとんらんやろ、この袋あげるわ」
思わず私も、シーズンと共に役目を終えた集金箱に、
ポケットに一度しまった小銭をチャリン。
餃子やスイーツなどの無料販売所で、
有料の商品を無料で持って行ってしまう人がいる時代に、
無料の商品を有料で購入する人がいる。
そんな人に出会えたいい一日でした。