八仙花を訪ねて(林)

入梅前の晴日を天佑に八仙花を求めて岐阜近郊をめぐりました。

はじめに訪れたのは山県市富永の三光寺
友学館のすぐ近くにある真言宗のお寺です。
境内には幾種類もの山アジサイが今を盛りと咲いています。
紫陽花は言わずもがな、山門脇の菩提樹が開花して甘くかぐわしい香りを放っていました。

続いては本巣市佐原にある根尾川ガーデンのあじさい園
社会福祉法人淡墨会が運営する特別養護老人ホームに入居する方々がボランティアで手入れをなさっているそうです。
タマアジサイ、アナベルなどが絢爛と咲き競います。

あじさい園のすぐ西を根尾川が流れています。
河原は白くて大きな丸い岩ばかりがゴロゴロと折り重なり、水流の激しさを物語っています。
少し下流の湾曲部に淵があり、翡翠色に湛えられた水が涼やかでした。

最後に訪れたのは揖斐郡池田町藤代の霞間ヶ渓(かまがたに)
こちらは季節ごとに美しい花木を楽しめます。
春は山桜、吉野桜、しだれ桜
後を継いで芝桜に新茶の若芽
今はあじさい
秋にはイロハモミジやツツジが紅葉し、冬は寒椿
濃尾平野を一望できるのも気持ちが晴れ晴れとします。

愛読する作家のひとり、泉鏡花に「紫陽花」という短編小説があります。
小説の時はまさに水無月中旬
氷を売る10歳ばかりの美少年と侍女を従えた貴婦人との不思議なお話は、鏡花の秀麗な文語文を存分に堪能させます。

おしまいは私が撮影した八仙花を少しばかり、お目汚しに