人を動かす魔法の言葉よりも・・・(古田茂大)
ある中学生のお話です。
Aくんは、中1の時に勉強が嫌になり、塾も辞めようとしていました。
保護者の方の説得もあり、嫌々ながらも塾を続けることになりました。
そのころは、塾に入ってくるときの挨拶も、
勉強している時の様子にも覇気がなく、その嫌気さが、にじみ出ていました。
そんなAくんも中2なりました。
この夏、Aくんは人が変わったかのように、中2で一番塾に来ていて、勉強してくれています。
不適切な表現かもしれませんが、正直、「別人」です。
その変貌ぶりがあまりに気になったので、Aくんに理由を尋ねてみたところ、
学校の先生に、「このままだとヤバイ」と言われたとのこと。
この話を聞いたときに、声掛けは「だれが、どのタイミング」でするかがいかに大事かと感じさせられたとともに、
自分がその「だれか」になれなかったことが、大変悔しく、力不足を痛感させられた出来事でした。
私自身も、このAくんには、中1の時から声がけをしてきました。
しかし、当時のAくんには、それはむしろマイナス効果だったのだと思います。
ありがたいことに、今は何を話してもスポンジのように、吸収してくれます。
これは親子関係にも同じことが言えるかもしれませんね。
近い存在で、いつでも話せる環境だからこそ、伝わるのが難しいのかもしれません。
そんな時、第3者の我々が代弁者となれたら、塾講師冥利に尽きると思います。
家族だから伝わりやすいこと、他人だから伝わりやすいことなど、
その伝えたい内容に応じて、役割を分担すると、子育ても少し楽になるかもしれませんね。
人を動かすのは、言葉の内容以上に、だれがそれを伝えるかの方が、時には大事なのかもしれません。