ことばの学習は音が大切(林)

言語の本質は音
今、高校1年生の国語では古典文法の助動詞を学習しています。
ふだん現代文・古文・漢文を学んでいると、ついつい文字を読んで意味を取ることに意識が傾きがちです。

しかし言語の本質は音にあります。
どうしてそう言えるのでしょうか。

言語の総数は不明
この世界にいくつの言語があるかというのは非常に魅力的な問いです。
しかし、残念ながらその数を確定することは難しいでしょう。
3,000とか、7,000とか、8,000とか言われたりしますが、どれもおよその数です。

言語の総数を決められない以上、すべての言語のうち、文字を持たない言語が占める割合を算出することも、論理的に不可能です。
ただし、現存する言語の大半が無文字言語 (unwritten language) であることは事実です。
日本語も漢字を取り入れて、漢字から平仮名と片仮名を作りだすまでは、文字を持っていませんでした。

言語は音から生まれた
人間は動物の一種です。
人間が話すことばは動物の鳴き声から進化して生まれたと推測されます。
生物進化の歴史から考えて、また、今日における音声言語の数と文字言語の数との比較から推して、音声言語の誕生は文字言語のそれに先行すると考えられます。
つまり、言語は文字から生まれたのではなく、音から生まれました。
だからこそ、言語の本質は音にあるということができます。

英語などの外語(第二言語)はもとより、母語(第一言語)においても、音による学習が重要不可欠であることは、言語の成り立ちから説明できます。

自動詞と他動詞の違い 
英語などの欧米言語は自動詞と他動詞を区別します。
日本語の場合はそれほど明瞭ではないけれども、やはり自動詞と他動詞の違いを見出すことができます。

目印は語尾の音です。
下の対応表をご覧ください。
左が自動詞、右が他動詞です。
古語(現代語の意味)の形で記します。

どうでしょうか。
「る」で終わると自動詞、「す」で終わると他動詞という対応が見られます。
ただし、この対応関係がすべての自動詞と他動詞にあてはまるわけではありません。

他動詞に「る」を付ける
他動詞に「る」、正確には「aru」を付けると自動詞になります。
あぐ+aru=あげある→あがる
凧(たこ)を揚げる→凧が揚がる
すつ+aru=すてある→すたる
古都をすてる→古都がすたれる

なお、「あげある」が「あがる」、「すてある」が「すたる」と変化するのは、上代(奈良時代まで)では母音の連続を嫌ったからです。
母音が重なる場合、
①一音が落ちる
②二音が合成されて一音になる
③ふたつめの母音の前に子音が付く
という変化のいずれかがおこります。

「あげあるagearu」では「ea」が「a」となって「あがるagaru」
「すてあるsutearu」では「ea」が「a」となって「すたるsutaru」
と変化します。

自動詞に「す」を付ける
自動詞に「す」を付けると他動詞になります。
いづ+す=いだす
声が出る→声を出す
のぶ+す=のばす
時間が延びる→時間を延ばす

動詞と助動詞
自動詞の語尾「る」は自発の助動詞「る」に
他動詞の語尾「す」は使役の助動詞「す」に
それぞれ対応しています。

自発の助動詞には「る」と「らる」があり、使役の助動詞には「す」と「さす」があります。
その理由については、改めて書きましょう。

ことばの学習は音が大切
これが本日、お伝えしたことです。

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